ROADSTER GARAGE ロードスターガレージ

ミウラ・イオタ・2000GT スーパーカーレプリカのロードスターガレージ

製作ブログ

蘇る夢の軌跡

レプリカとは?

先日 あるお客様とお話させていただいた内容なのですが スーパーカーのレプリカについてのお話です。

もともと レプリカに対する ご意見は 色々あると思いますので その点に関しては 人それぞれの お考えがあると思いますし 個々の ご判断で良いと思いますし ここで語る必要は無いと思いますので あくまでも 製作者の立場のお話をさせていただきたいと思います。

レプリカといえども やはり 皆様が絶対条件として望まれることは そのデザインがオリジナルとそっくりであり すべてにおいて違和感が無く完成している事だと思います。

これの最高峰が 形だけではなく このクルマが あたかも本物であって当然であるというオーラを放ち 誰もが信じて疑わない車であると思われます。

しかし よく考えていただければ ご理解いただけると思いますが プラモデルやダイキャストモデル等ならば 実際に乗って走るわけでもなく 0から製作するわけですので
強度や安全性は一切考慮する必要も無く 単純に縮小サイズで製作すれば良いわけで その際に いかに細かい点まで正確に作り込むか だけの問題であり 本物が持つオーラなどは必要ない物だと思います。

では 実車の場合はどうでしょう? 一番大切なのは 実は 安全性なんです 単純に モデルカーのように0から製作すれば良いと思われますが そんな 簡単なように思えることが 実は 限りなく不可能に近いのです。

メーカー様のように 何万台・何百万台の台数販売を目的に 高額な予算を投入し 国から 自動車製造会社として認可していただいた上で 計り知れないほどのテストを繰り返し 新規製作する場合ならば 認可も下りるでしょうが 我々のような中小企業では 認可など許可されることは不可能であり 日本国のように 車検制度がある以上 事実上 ありえないことです。

何よりも 人道的にも 安全性が確保されていない車両を販売することもありえません。

ならば 必然的に安全性が確保されている 一般販売車両を 安全性を確保した上で 正規の方法で改造してレプリカ製作するしかないのです。

安全性の面についても スーパーカーなどのレプリカ輸入代行販売業者様自身のサイトにも記載がございますが 日本製作では 安全基準に合格しないため 海外で製作した上で 国内登録とされています。

ナンバーが付けば 法の抜け穴を利用して登録さえすれば なんでもOKという話ですが これは人命軽視の何者でも無いのではないでしょうか?

とんでもない お話です!

話がそれてしまいましたので レプリカ製作のお話に戻すことにします。

まずレプリカ製作にあたり 基本となるドナーカー(ベース車両)が必要となります。

しかし 実際的には どんなクルマでも 似ている車はあるでしょうが 絶対に同じクルマは この世の中に 一台も存在しないのです。

たとえば 日本人と外人さんは 見てすぐ違いがわかるでしょう でも 外人さんから見たら 日本人は 皆 同じに見えるんではないでしょうか? 同様に 我々 日本人からすれば 外人さんは 国によって雰囲気の違いはあるものの 皆 同じ顔に見えてしまいますし 年齢の区別さえつけられないと思います しかし 実際は 同じ日本人でも 外人さんでも 一人として 同じ人はいない事はご存知だと思います。

よく 有名人のそっくりさんがいらっしゃいますが 私は 今まで 本人と瓜二つの方は見たことがなく パッと見た時に すぐ 違和感を覚え 本人でないことがわかります。

たとえ 一卵性の双子の方だとしても どこか違和感を感じてしまうのではないでしょうか?。

顔つきどころか 体系など すべてが一致し その上 姿勢や態度 何よりも内面から出てくる その方の目に 見えない雰囲気や風格を 一瞬にして 誰もが見分けてしまうわけです。

大体 本人だとしても 痩せた 太った程度で イメージが違ってしまうのですから 全然違う車で 皆様に納得いただけるレプリカなど 到底 製作することは不可能でしょう。

そう言いながら 当社では 夢を追いかけ 2000GTのリアルモデルカーを製作させていただいておりますが 正直 簡単に思えることでも 本当に ほんの細かい 取るに足らないほどのことでさえ 実際は 試行錯誤の繰り返しであり こんな事と思うことでも 多大な費用がかかってしまい 正直 販売価格を決定させていただいた後に 欲が出て ここをもう少しと思うだけで 作業面でも資金面でも とんでもないことになっているのが実状です。

たまたま 当社の場合 ほとんどの作業が 自社で行うことが出来た為 外注作業が少なく 何とか企業努力で製作させていただいておりますが この簡単に思われる すべてのことが 実際上は 他人任せでの製作の場合は特に ほぼ不可能に近く 金銭的にも 到底 採算が合わないのが事実です。

先日 トヨタの試作部の方とデザイナー様が5名 ご来店いただけ どうして こんな小さな町工場で 今回のようなことが出来るのか また 販売台数が少ないうえで こんな安い価格で販売可能なはずが無いとご質問いただきましたが 実際 すべてにおいて 自分で企画・製作しているからであり 人件費等を除外ししていることに尽きますし 事実上 正気の沙汰ではない 単純な 50年 築かってきた技術の結晶と 何よりも 憧れ続けてきたトヨタ2000GTへの愛情に近い思い そして 同じ思いを持っている方がたくさんいる事実を知っている 馬鹿な世捨て人に近い爺さんだからこそ出来たことだと思っております。

話が長くなりましたが ご理解いただきたいのは 利益目的では 今回のようなレプリカ車両製作は 絶対不可能であるということです 外装だけで 内装はそのまま 外装自体も 全面変更ではなく 変更しなくても良さそうな箇所はそのままにする なんちゃってバージョンならば 可能でしょうが 外装内装 その上 一瞬 見たときに感じる 見えない その車自体が持つオーラというか 雰囲気まで あたかも 本物と思っていただける車に仕上げることは とんでもない試行錯誤と技術 その上 物凄い資金はもちろん 理屈ではない愛と感性 が必要だと思っております。

しかし あるサイトで スーパーカーを安い価格で どんな車種でも 好きなように好きなベース車で製作が可能であり それも個人的オーダーも可能として 輸入代行して販売されている業者様がいると お聞きしました。

お客様の質問も この業者様の話でして 価格も安い上に 好きな車で製作可能であり ならば 国産のMR-Sあたりをベースに 新型の数億円もする限定車のランボルギーニでも何でも製作可能らしいので 今 試行錯誤しているという ご相談でした。

私も 実際に改造方法などを検討する際に よく YOUTUBEなどを拝見し レプリカ製作過程動画などを拝見しますが 実際に 役に立つ情報もございましたが では 実際に完成して販売しているのか? と考えますと いくら 安価製作可能な海外だとしても これも 実際に製作している人間からすると すぐに嘘であると わかる物がほとんどでして 動画を見る限り 本物から型取ったFRPボディーを ベース車両を安全面を無視して切り刻んだクルマに取り付けステーを装着 何とか ボディーが載ったところで 実際に走行画面を見せ(よくガルウィングを開けたままで ただ 行ったり来たりする走行動画) 細かい内装などの製作過程などは すべてカットされ 即 完成車の画像になりますが 見る限り 完成車両は 確実に本物であり 製作していたものとは 明らかに違うと思われるものがほとんどです これは 実際に製作している人間なら容易に判断がつきます。

その上 600万円程度で ボディーどころか すべてのガラス・内装やヘッド・各種ランプ類から シート・ハンドル・アルミホイール・マフラーに至るまで オリジナルそのものを製作するなんて 到底不可能なことは 歴然としていますし その販売価格で 製作者はもちろん 中間に入る業者 輸入業者まで利益を得るならば 実際の製作費用は いったい いくらなんでしょうか? それも 大量生産ではなく 固体で対応可能なんて 到底無理な お話です。

すべての部品をオリジナル品を購入して装着も可能ですが そんなことをしたら 部品代だけでも600万を ゆうに超えてしまうでしょう。

クルマ本体で大量生産車として いくら手作りであっても購入すれば高級車とはいえ まだまだ安価ですが 部品購入して製作したら とんでもない価格になるはずです。

たとえば 当社の龍妃用にフロントターンランプが 2000GTそっくりなものが無く 製作しようと思い 現在 いろいろな製造業者様に見積もりを ご依頼しておりますが 皆様 いくら掛かると思われるでしょうか? 国内で JIS規格に合格してメーカー様同様の規格商品としての一流のメーカー様で商品を製作するには 左右といえども型は違うので 左右製作すれば 数千万どころか億という単位になります。

規格を無視して安価製作しても 国内ならば 左右で 約1500万 海外でも その半分は掛かるのが実状です。

たった ランプ左右製作で このような状況ですから クルマ全体をそっくりに新規製作する費用は 宇宙的金額です。

今流行の3Dプリンターで試作製作の場合でさえ 3Dキャドデータの製作から 3Dプリンター出力で製作しても あくまで試作モデルしか製造できず 実際の商品製作は 同じ様な 高額な価格が発生してしまいます。

先日 ご来店いただいたトヨタ試作部さまが製作された オートサロン出品車の新規製作のヘットライト一個の製作費用は 片側だけで 1億円とお聞きしましたが メーカー様の場合 すべての規格にクリアーする商品として製作されるので 当然 その価格になってしまうと思われます。

クルマは 乗ってみえる方々の命を守ることは当然ですし 事故などで 他人の命を奪うこともある とても危険なものであり 安全性を無視したクルマは 悪意そのものであり けして あってはならないものだと思います。

だからこそ 安全基準等は 国や世界が決めた基準があるのですから 形があれば良いと言う訳にはいかないのです 安全性の無視 それは 自動車では無く 飾り用のモデルカーのみに許されることです。

結論を言わせていただきますと 簡単に安価で 完全なレプリカなど 絶対に製作できまいということです。

一生懸命 製作している者から言わせていただきますと 凄い 冒涜であり 愛を持って製作している側からは 許しがたい事であり 悪意 そのモノとしか言いようがございません。

どうしても レプリカ = 偽物・バッタ物 と 安くて出来の悪いものと判断されるのは このような悪意で製作または販売させることが多いからであり そのために 軽んじられてきたのだと思えて仕方ありません。

もちろん 真剣に製作されている方は 世界中にいっぱいいらっしゃいますし まじめに愛情を持って製作している方々に 大変 失礼なお話です。

お客様からの提案もあり このようなことから 当社はレプリカという言葉を封印させていただき 1/1リアルサイズモデルカーと呼ばせていただくことにいたしました。

ぜひ ご理解いただければ幸いです。

この内容と同じ事を 記載されているサイトがございました。
http://blog.meidomimi.com/?p=1243

是非 ご覧いただき ご判断いただければと思います。